〈図1〉 最適印刷生産システムのピラミッド

 CMS(カラー・マネージメント・システム)とは、印刷原稿の入稿から印刷出力までの色を一貫して管理するシステムのことを言う。特に、印刷物の色見本として提出した校正刷りと、最終製品である印刷物の色を合致させることにより、客先からの品質に関する信頼性を確立するとともに、色のトラブルによる納期遅延や刷り直しなどの無駄を省くことが可能である。
 これを実現するには、製版側ではICCプロファイルなどを用いて、校正刷りを印刷の色再現範囲に合わせることが必要であり、印刷機械側では印刷の再現範囲を安定させることが求められる。しかも、この二つが同時に達成されなければ、CMSの実現や準備時間短縮による生産性向上はできない。
 換言すれば、CMSを実践するには、図1に示すような生産現場の基本である5S“整理・整頓・清掃・清潔・しつけ”を基盤とした最適な印刷物生産システムのピラミットを構築することが重要である。
 『5S』とは、製造業やサービス業などの職場環境の維持や改善のために用いられるスローガンで、各職場において徹底されるべき“整理・整頓・清掃・清潔”そして“しつけ”の5項目を意味する。
 印刷工場の場合、これから印刷する用紙や印刷された後の乾燥待ち用紙など、印刷機械の周辺に数多くの用紙パレットが置かれており、この置き場をどのように整理すれば生産を阻害せずに整頓できるか、また使用中のインキ缶や刷版といった印刷資材どう整理して置くべきかなど、頭の痛い問題が多いと思う。もちろん工場スペースに余裕があればいろいろと対策も考えられるが、市街地の手狭な印刷工場にとっては大きな課題であり、整理・整頓の状態は、工場によって大きな差が見受けられる。
 また、印刷機械の運転時には、スプレー粉やインキミスト、そして紙粉などが飛散するため、残念ながら機械の周辺は汚れやすい環境になっている。従って、ちょっと清掃を怠ると機械上に紙粉やスプレー粉が堆積し、また、長時間汚れを放置すると、機械油と混ざって部品周りに汚れが付着してしまい、これが印刷物の汚れ等の原因にも繋がってしまう。

 5S自体の効果は、当然ながら職場環境の美化や従業員のモラル向上が図られるなどと言われているが、5Sを徹底することによる間接的な効果として、業務の効率化や不具合発生の未然防止、職場の安全性向上などが挙げられている。これは、整理・整頓活動を行うことで職場をよく見るようになり、問題点の顕在化が早まるためである。
 実際、印刷機械の周辺で“整理・整頓”された“清潔な環境”を維持して行くには、大変な“エネルギー”が必要となるが、キチンとしたルールを作り、これを全員が守っていく“しつけ”を徹底することが必要である。