ダブルデッカータイプの両面枚葉機における見当不良の主な原因は“紙伸び”である。
オフセット印刷機では、紙面にブランケットからインキと水が同時に転写され、そこに印圧がかけられるため、“紙伸び”の発生が避けられない。
ダブルデッカータイプの機械構成では、表裏を交互に印刷するため、ユニット数が多くなるに従い紙の伸び量も多くなる。ダブルデッカータイプの印刷機における紙のファンナウト量は片面機の約2倍の影響を受けるとも言われている。
この“紙伸び”の原因のひとつは、紙に供給される水分である。XPシリーズでは、ブランケット上の余剰水を低減させるためにブランケット胴にエア吹付け装置を取り付けた。
さらに新開発の「ファンナウト調整リモコン」と「3分割版万力装置」を装着することにより、見当調整の範囲を拡大させると共に、適切な位置で見当調整することを可能とした。
従来のダブルデッカータイプの両面枚葉機では、ファンナウトの発生量が機械上で調整できる範囲を超えていたため“加減焼き(刷版でファンナウト量を見越した細工を施す方法)”を実施する場合があった。最近では“加減焼き用ソフト”なるものも販売されているが、ファンナウトの発生量は紙などの印刷資材により変動するため、その効果には限界があった。そこで弊社では、既にダブルデッカータイプの両面枚葉機をお使いのお客様の「声」を伺い「ファンナウト調整リモコン」と「3分割版万力装置」を開発した。
1 ファンナウト調整リモコン
他社製品の爪軸・爪座を弓状に変形させファンナウトの調整を行なう方法では、本来ファンナウトの影響を受けにくかった紙の中央部分の見当まで変化してしまい、ダブリの原因にもなった。XPシリーズでは、軸径の太い爪軸と爪座を一体にして回転させる爪座旋回方式(特許出願中)を開発し、搭載した。これは第一中間胴の爪が紙を咥える時に、中央部の爪座が回転し、両端の爪よりも手前で紙を咥える。そして1色目圧胴へ紙を渡す直前に、回転した中央部の爪座が水平位置に戻ることで、中央部の紙咥え部分が本来の位置に戻る。この結果、紙尻が左右に伸びる形で圧胴に受け渡されるため、発生するファンナウト量を相殺することが可能になると共に、紙の中央部の変化は最小限に抑えられる。この爪座旋回方式では、爪軸・爪座を無理に変形させないため、安定したファンナウト調整を実現させ、耐久性の問題もない。さらに、ファンナウト調整リモコンは、運転中にファンナウト調整が可能であり、準備時間の短縮と損紙の低減も同時に実現している。
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