短時間でのバリアブル輪転機開発を可能にした背景には、当社の保有する確立された3つの技術がある。換言すると、バリアブル輪転機は実績のある基礎技術の上に成立した新製品である。
 そのひとつはスリーブブランケットに関する技術である。
 約10年前から製造・販売をしているギャップレス輪転機に採用されているスリーブブランケットのノウハウがカットオフ変更の技術に応用されている。
 次は、シャフトレスドライブの技術。MAXで標準仕様となっているシャフトレス駆動技術が折機のカットオフ変更、各駆動ローラの周速調整に応用されている。
 そして3番目は、ピンレス技術。ギャップレス輪転機に採用されているピンレス折機の折帳安定化技術が、折機のカットオフ変更時に折帳を加速する際のズレ防止技術として応用されている。


印刷部のカットオフ変更
 印刷シリンダとブランケットシリンダは、胴軸に厚肉スリーブを取り付ける構造で、スリーブの厚みを変えることでシリンダの円周長を変え、カットオフ変更を行う。標準仕様機は、カットオフ546mmと625mmのスリーブを準備するが、その他のカットオフはお客様の要求に応じて対応する。スリーブの取付け、取外しは、高圧エアにより内壁を膨張させて行い、運転中はスリーブ自身の自緊力でシリンダ本体に固定させる。スリーブ交換時には、操作側の印刷シリンダ軸受がシリンダ本体から外れ、サブフレームと一緒に待避することで交換スペースが確保される。シリンダ軸受着脱もスリーブブランケットの技術を応用したものである。カットオフ変更により印刷シリンダの位置が大きく変わるが、紙パス高さを基準に上ブランケット胴が移動し、これに追従してその他の胴が移動する。また、インキ、水着ローラもこれに追従する。印刷シリンダ周辺を動かすことで、当初はストリーク、網点不良等の印刷障害を心配したが、実際には心配するほど問題は発生せず、経験則だけでは技術が進歩しないことを実感した。

スリーブ交換作業(drupa会場にて)


折機のカットオフ変更
 折機は、2段断裁装置に加速ベルト搬送装置、そして先端くわえ装置を採用したバリアブルカットオフ機構と、従来技術である折くわえ装置と直角折装置から成立している。各装置の寸法は最大カットオフ625mmで設計されており、カットオフが小さくなると、その差に応じて折帳が搬送ベルト内で加速される。
 バリアブル折機では、印刷シリンダギャップ位置と断裁位置が一致する必要があるため、印刷シリンダと鋸胴は同期して回転させている。すなわち、スリーブ径(円周長)が変わると紙速度が変わるが、断裁タイミングが一定のため、断裁長が比例して変わる。
 カットオフが625mmより短い場合は、折帳速度が折胴周速より遅いため、加速ベルト搬送装置で折帳を折胴速度まで加速しながら、折帳先端が折胴の先端くわえ装置と同位相になるよう制御する。
 折精度は、折帳と搬送ベルトの位置関係で決まるが、確実に折帳を支持するため、2段断裁方式を採用している。まず、第一鋸胴でミシン目状の断裁を行い、この部分を搬送ベルトで保持し、次に、第二段鋸胴で残りの部分を断裁することで断裁が完了する。このように折帳が常にベルトで保持されているため位置ズレがなく、高い折精度を保証している。これは既納のピンレス折機で多数の実績を積んだ技術である。
 各印刷ユニットなど装置の位相合わせ作業は、メインコントロールデスクでカットオフ選択をするだけで自動的に切り替わる。

折機のカットオフ変更
 
 
テンションコントロール
 インフィード、冷却部、ウェブパスの駆動ローラは、各々単独モータで駆動されており、カットオフ変更時の紙速度変化に応じて、自動的に周速が演算される。つまり、コントロールデスクでカットオフを選択すると、自動的に基準周速が設定され、これを元に引き率調整を行う。


▼インデックスへ戻る
▼バリアブル輪転機のメカニズム ▼バリアブル輪転機のメリット