従来方式の問題点
 従来(現状でも大半)は、印刷物の色は、紙面上でのインキの盛り量を調整することで校正刷りの色(大半が平台校正機による)に合わせ込むことが主流です。
 この従来方式の大きな問題点の一つに、校正刷りの発色特性と印刷機の発色特性が異なること、すなわち、ベタ部の色と網点部の色が同じバランスで再現されないことや、トラッピング率の違いによる2次色、3次色の色ずれが発生することで、両者の全色空間での色の合わせ込みができないということがあります。

<図1>

 また、印刷機は幅方向での色のコントロールは多少できますが、印刷物の天地方向での色のコントロールは自在にはできません。そのため、図1のような絵柄で大きなりんごの色がオレンジなので、小さいりんごの赤色に合わせようとして、マゼンタの量を増やすと、その上に配置された女性の顔が赤くなります。この女性の顔は左右で同じにしなければならない場合にはマゼンタを増やすことができません。この矛盾した問題を解決するために、オペレータは女性の顔と大きなりんごの両方の絵柄が、それぞれ色校正とできるだけ一致するようにインキ出し量を調整し、結果的に両方の絵柄が決して完全ではないが共にそこそこ色が合っている状態で妥協するのが現状です。しかし、この結果を得るためにもオペレータの高いスキルと数回にわたる色調整作業が必要となります。ここが、色調整を難しく、また時間がかかる作業としている大きな要因です。
 また、無理な色合わせ(インキの盛り)を行うことで、乾燥不良、裏つき、乳化バランス不良による色調変動等の印刷事故の可能性が増加します。
 
 
プリプレスのデジタル化(DTP、CTP、DDCP、CMSソフト)
 前回のデジタルワークフローの概要説明で紹介したように、プリプレスのデジタル化、CTPの普及、DDCPの精度向上、CMSソフトの高性能化等によって、印刷機の色再現に限りなく近い色校正をDDCPで出力することが可能になってきました。これにより印刷機では、決められた基準濃度[=インキ膜厚]で印刷すれば、印刷物の色は校正刷り(=DDCP)の色に近いものとなります。
 このようにCMSの実現は、オペレータの技術に依存しない安定した品質、損紙の低減、準備時間短縮、校正刷りとの全色空間での色一致精度の向上等のメリット以外に、前述した無理な色合わせがなくなることによる印刷事故の防止にもつながります。

CMSの必要事項
<図2>標準化のステップ
 以上のような多くのメリットが多いCMSですが、これを実用化するには、例えば最新型のCTPを買ってきて稼動させれば何かができるといった、ただ何かの装置を買ってきて動かせば達成できる、従来タイプの合理化とは少々異なった“取り組み”が必要となります。その“取り組み”が会社全体で行う印刷の標準化であり、そのためには全社員の標準化に対する理解と実行が必要となってきます。例えば、営業部門での校正のあり方、すなわち修正方法や最終校了の取り方にも適切なルールを作り、これに従って行う必要がありますし、プリプレス部門も校正刷りの出し方やDDCPの出力メンテナンス、CTPのメンテナンス等を実施することが必要となってきます。しかし、中でも最も重要で難しい事項が、印刷機の出力を安定させることです。
 すなわち、CMSは、印刷機やCTPやDDCP等の安定した出力という条件の上に、それを運用する標準化のルールを策定した上で成り立つものなのです。 
 図2は、以上の考え方を図示したものですが、次章では、印刷機に関する標準化手法の一例について説明します。

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