CMSを実施する際、印刷段階でバラツキが出ないように、また標準を保ち安定した印刷ができるように「標準印刷」を確立しなければなりません。その要件は
 ・正しい校正(プルーフ)
 ・正しい印刷版(刷版)
 ・正しい印刷(刷り)
 ・それらを支える正しい機械と材料
といったプリプレスからプレスまでのトータルな範囲での対応が求められます。
 特に校正や刷版についてはデジタル技術を使った機器類が出現したことにより、飛躍的に改善されつつありますが、印刷については、生き物である「紙」を相手に、湿し水や印刷インキ、その他印刷資材を使って品質をコントロールする訳ですから簡単ではありません。しかし、印刷の安定化こそが標準化達成の鍵を握っていると言っても過言ではありません。
●印刷標準化の5つの要素
印刷の標準化にもさまざまな管理要素がありますが、次の5つの要素がとりわけ重要です。

1.濃度(インキ皮膜・膜厚)
 現実の印刷現場の管理では、ほとんどの会社で濃度計による濃度=膜厚管理が行われており、濃度管理が最も有効で重要です。
 印刷物の印刷部分はベタと網点で構成されており、網点は常に3D立体として幅と高さを持っています。もちろん、ベタ部も印刷の濃淡を表現する網点も膜厚は同じであり、インキ皮膜を計測することで管理が可能となります。
 膜厚とは紙に転写されたインキの厚みのことで、一般的に1ミクロン前後です。印刷時には適正なインキ膜厚管理が必要ですが、膜厚の測定は困難なので、一般的にCMYKの膜厚を一定にしたときに得られる反射濃度を刷り濃度として計測・管理しています。

2.ドットゲイン
 印刷機械の印圧で網点が潰されて太る「機械的ドットゲイン」と、紙中に浸透したインキが乱反射して起こす「光学的ドットゲイン」があります。
 一般的に製版側で印刷機のドットゲイン量に合わせてトーンカーブを設定し色分解しています。
 意図的に濃度を変え、カラーバランスを変化させると、ゲイン量も大きくバラつき、色ムラの要因となるので、適正なドットゲイン量を保ち印刷することが必要です。

3.カラーバランス
 印刷インキは理想的にピュアな色相を持っていないためCMYの3色を等量に混色しても茶黒くなり、ブラックは表現できませんが、印刷再現を行う場合、製版でCMYの3色でグレーバランスを設計することにより、適正なインキ膜厚で印刷されていればグレーに再現することができます。逆の言い方をすると、自社のグレースケールが正しく自社が設計したグレーに印刷されていれば、カラー原稿の色調もきちんと製版通りに印刷・発色されていることになります。
 カラーバランスは濃度計での管理はもちろん、目視でチェックするための管理チャートも使われており、グレーバランスを常に把握しておくことが日常の印刷管理に求められます。

4.コントラスト
 画像の明暗の差をコントラストと言い、校正で再現された画像のコントラストにより見る人に違う印象を与えます。また画像のコントラストには調子(濃淡)のコントラストと色相のコントラストがあります。
 人間の色に対する感知能力は非常に高いのですが、画像によって感じ方に大きく差があるようです。例えば平網で処理された画像や水墨画などはほとんどコントラストがないので、見る人間の色相に対する感度は最高に高くなり、わずかな色の差も感じるようになりますが、逆にカラフルな画像では感度が低くなり、色調が多少変わっても、その違いがわからなくなると言われています。
 製版工程で適正に設計されたコントラストを保つために、濃度・トラッピング・ドットゲインなどを適正に管理することが重要です。

5. トラッピング
 インキを重ね刷りする際の先刷りインキの上への後刷りインキの乗りの状態(転移性)のことで、本機による多色刷りはウェットトラッピングと言います。ウェットトラッピングでは先刷りインキ皮膜よりも後刷りインキ皮膜が厚い方がインキ転移性は良く、先刷りの版面が少ない方が(用紙の余白が残されているので)後刷りのインキ転移性が良好です。またインキタック(インキ皮膜が分離するときの粘り)は先刷りよりも後刷りのインキタック値が低い方がインキのトラッピングは良好です。
 仕事の内容や機械の環境(サイズ・スピード・印圧等)により用紙・インキ等の最適な材料を選択し、良好なトラッピング結果を得ることが求められます。

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