印刷されたテスト版を見せながらCMSのやり方を説明する徳永プリプレス部課長代理。
 意識改革が浸透してきた頃を見計らって、2002年には既存の印刷機械をDAIYA 404と入れ替えると同時に、色調管理装置MCCSIIの導入を行った。色調管理装置を導入した狙いは数値管理による「印刷機の安定」だった。機長の感覚でインキキーを調整していた従来のやり方を廃止し、色調管理装置を通して数値管理させることを徹底した。このやり方が印刷現場の世代交代を加速した。
 英断だったのは、リプレースしなかった既設3台の印刷機のインキキーを、DAIYA 404の導入と同時に同じ新型インキキーに交換したことであった。これによって4台の印刷機械すべてが同じ色調管理装置でコントロールすることができるようになり、工場全体が同じシステムで仕事をする体制が整った。
 「当社の商品は印刷物そのものです。その印刷物の品質は最終工程である印刷機によって大きく左右されます。ですから、印刷工場にとって印刷機械の安定化が基本です」と今任取締役はCMSの根幹となる印刷機械の安定化の重要性を語った。
 こうした発想から、各印刷機械の診断から始め、各機の調整を行った。印刷機械の診断・調整は、当社の広島研究所印刷研究室のスタッフが指導して、当社のサービス部門がサポートして実施したが、インキキーのゼロ点復帰やAPI関数設定、機械周辺や湿し水等の温度管理などが重要ポイントとして管理されるようになった。
 さらに、印刷品質を印刷現場の視点だけでなく客観的に評価するため、富士フィルムの“i‐ColorQC”で総合的な診断を行うこととし、印刷物を富士フィルムグラフィックシステムズ株式会社に持ち込み、印刷物の分析を依頼した。
 意識が変った印刷の現場からは、次々と改善に対する意見が出始めた。最初は社内の標準となる色基準を作ろうという動きだった。印刷機が安定したため基準を決める作業がやり易くなっており、テスト印刷を繰り返し、同社の基準となるインキ濃度がジャパンカラーとほぼ一致していたため、標準の色基準はジャパンカラーを採用することが決定された。
 そして、今年1月には富士フィルムのCTPシステムと三菱重工のPPCサーバーの導入を行い、カラープリンターの調整、スキャナーカーブの修正などプリプレス側の標準化を行うことで全社的なCMS体制を構築した。

画像制作を行うプリプレスルーム。
 
「CMSを実施して、標準印刷を維持するためには、印刷機の状態を安定させる、原点に戻すという考え方が何より重要です。当社では基準にブレがないかをチェックする定期診断として、『インキキーのゼロ点復帰、API関数のチェック、テスト版印刷(175線、300線)によるチェック』の3点を1セットとして、毎月すべての印刷機で必ず実施しています」
 印刷の現場での色調整について、三宅 信也 印刷加工部課長代理に聞いた。
 「色標準のインキ濃度については、最初にベタ濃度で合わせ込みます。印刷開始後はグレーバランスで制御します。グレーバランスが合っていると、L*a*b*値もほとんど合っています。徐々にこれまでの実績からの基準が出てきています」
 色校正に使用するインキジェットプリンターもCMYKの濃度を定期診断し、プロファイルを崩さないように維持している。徳永 光宏 プリプレス部課長代理がCMSの効果を語る。
 「CMSが構築され、インキジェットプリンターが安定してきたので、印刷機とほぼ同じ色が出ます。おかげで画像処理を行うオペレーターも色修正がやりやすくなっています。逆に平台校正機で校正紙を出すと色の違いが大きく修正に手間がかかってしまいます」
 同社では校正刷りを平台校正機からインキジェットプリンターへ全面的に移行している。
 印刷加工部とプリプレス部、生産管理部の三者の連携も密になってきている。週1回のチーフ会に加え、問題が起った場合は随時打ち合せを行い、工程やテストについて相互に意見を出し合いながら行っている。
 今後の取り組みとしては、印刷品質のさらなる向上をめざしてFMスクリーン印刷には既に着手しているが、その他の課題として、各印刷機の見当精度のデータ取りを行い、ピンの微調整をして、一発見当で刷り出し時間を短縮し、予備紙の大幅削減をめざすことに挑戦していくという。

CMS導入を一貫して指導してきた今任取締役。