6色×4色をワンパスで両面印刷。
 津田 照雄 トッパングラフィック 取締役技術部長は、タンデムパーフェクター導入当時、凸版印刷の情報・出版事業本部の技術部長であり、導入を推進された当事者である。
 津田取締役に技術的な観点から導入の経緯を伺った。実は同社に導入されたタンデムパーフェクターは、三菱重工が設計図の段階で発注をいただいた商業印刷用の第1号機である。
 「理論的にこれしかなかった」と津田取締役は語る。
 雑誌関係の印刷は、発行日の直前に新しい記事が入ることが多く、常に急ぎの仕事になりがちだ。特に表紙は最後に印刷される可能性がある。しかも、短納期で大量生産しなくてはならない。従って生産設備の多い大手印刷会社で印刷されるケースが多く、凸版印刷でも“水平展開”と呼ばれる形で、複数の印刷機で同時に印刷する。これは王子工場でも同様だ。そのときに、ある印刷機が特定の用紙の条件でなければ印刷できないということであると運営上支障が生まれる。そこで、王子工場に両面機を導入する1つの条件が、反転式のように用紙の天地に咥え代のため余白を必要としない、非反転式の両面機でなければならなかった。また、表紙印刷では、5色・6色の多色印刷が中心になるため、四六全判機でも色間見当精度が優れた機械が条件となった。両面刷専用ユニットを有する、表裏を交互に印刷するタイプの両面機であると、ファンアウトが大きくなり、見当精度に心配がある。その点、タンデムパーフェクターの片面ずつを印刷するという機構が、色間見当のコントロールがしやすいという点で評価された。
 「色間見当はもちろん、もくろみ通りにうまくいきました」と津田取締役は語る。

タンデムパーフェクターの前に立つトッパングラフィック 津田取締役。
刷り出し立会いをされる出版社のお客様からもワンパス両面印刷の評判は上々だそうだ。従来の片面印刷機では不可能であった両面の印刷品質が同時に確認できるという点から喜ばれている。従来は、片面を印刷して、もう片面は7時間後にお見せするという形だった。インキがウェットな状態から乾燥すると調子も変わってくるが、乾燥した先刷りとウェットな後刷りを見てOKが出たものの、乾燥後に裏面がだめでやり直しということもあったそうだ。それがワンパス両面印刷機なら、いちどきに表裏の色調バランスも見られる。工程上の印刷時間も大幅に短縮されるため、ぎりぎりまで入稿を待つことができるなどのメリットも生まれた。週刊誌の表紙といった厚い紙でもキズや汚れの心配が少なく対応できる点にも優位性がある。また、出版印刷物の場合は、出版社からの支給紙が多いので、その面からも面付けギリギリの用紙で印刷できることも評価のひとつである。
 凸版印刷では、タンデムパーフェクターを、王子工場以外にも、2つの関連会社へ1台づつ導入することを計画している。評価の高さがうかがえる。