同社では、社員一人ひとりが印刷の“標準化”の大切さを知り、それが社風にまでなっている。こんなエピソードがある。小坂常務が、本機校正を見たときのことである。イメージしていた校正に対して、うん?と首をかしげることがあったという。小坂常務はすぐに工場に電話して、印刷機の設定関数が正しいかどうか、インキキーを調整していないか、そこまで確認したという。そして、その結果、印刷機の設定が間違っていないという判断のもとに、画像データを修正する、という結論になったという。印刷の“標準化”が徹底され、デジタルデータが信じられている証しである。
小坂常務は工場にいつもこう指示する。
「CTP版を印刷する場合は、私たちはインキキーを絶対いじるな、触るな、と口をすっぱくして言っています。見当合わせをして、ヒッキーなど突発的な印刷障害に注意することだけを考えるようにといつも言っています」
西川社長が補足する。
| 「この裏返しは、データを信じる、ということです。別の意味ではそのデータを作った制作オペレータを信用しようということです。これが社内に徹底されると、ひとつの営業戦略になっていきます。完全データというのは、クライアントの直しを反映して、修正した出力データです。一度軌道に乗ればクライアントとは信頼関係が築けます」 |
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では足立工場では、こうした印刷の“標準化”をどう実践しているのだろう。小松崎隆一工場長に伺った。
「最初は試行錯誤でしたが、今は非常に安定しています。台替えの多い時には、刷り始めの時間が顕著に短縮できたことが大きいですね。CTP版と通常のPS版の切り替えも関数の設定を切り替えるだけでまったく問題ありません」
こうした“標準化”が社内に徹底するまでにはかなり苦労があったのではと問いかけた。小坂常務が答える。
「印刷の“標準化”を始めるにあたって、三菱重工やCTPメーカーの人に来てもらって、オペレータにもわかるように説明しながら進めてきました。こうしたプロセスがあったから、社員皆の理解を得られ、ここまでうまく来られたという部分があります。試行錯誤が良かったと思います。社員一人ひとりが初めから携わっていますから、デジタルワークフローの流れを理解しています。ですから、途中でインキキーを調整していいかという問いには、ダメだと答えられるのです」
印刷の“標準化”導入を通じて、同時に社員の理解も深まり、社員教育ともなるという理想的な展開が生まれたのである。 |

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