データベース関連の出版物、高級美術出版物、フルデジタルのチラシなど多彩な製品群。

 「当社が成長を勝ち取ってこられたのは、経営理念がお客様に支持されたからです」と木野口社長は成長の理由を語る。
 ”民主的に運営する“というアイワードの経営方針は、社内で徹底されている。全社員が必ず毎日、一日の感想を自由に日報に書き、木野口社長自らすべて目を通し、そこから必要と思われる内容を週2〜3回発行される社内報『フォーラム』で全社員にフィードバックしている。会社の情報はもちろん社員の情報も共有化していればこそ、社員全員が自主的に考えて行動できるようになるというポリシーがそこにある。
 例えば、IGASなどは参加希望者が自発的に手を上げる。人数が多すぎた場合は幹部が納得させて調整する。朝の掃除もやれる者がやる。全社員の4割が女性で、男性も女性も給料の差はない。役員も約半数は女性である。1割ほどいる重度障害者もまったく同じ待遇である。
 ”自主的、自覚的な行動“という方針も貫かれていて、営業マンの売上目標も自主目標である。
「この考え方を74年からずっと徹底しています。さらに、私は経営者として、次の3つの事柄の大切さを、常に言いつづけてきました。」と木野口社長は語る。
 一つめは、”パブリックリレーションズ(PR)“
を大事にすること。
「PRとは、お客様と良好な関係をどうしたら保つことができるかを考えつづけることです」。『月刊アイワード』という情報誌は20年間発行されており、郵送だけでなく、営業マンがお客様に直接持参することで、月に1度は担当しているお客様のもとへ必ず行くようになる。
「玄関の靴を揃える、”いらっしゃいませ“を元気よく言える、電話に早く出る。取り立てて珍しくないことですが、お客様と良好な関係をどのように作るかを大切にしてきました」と木野口社長は語る。
 二つめは、”非価格競争力“を大事にしてきたことである。これは同業者にはできないプラスαのサービスを提供しようという考え方である。

フルデジタルの各種技術を生かし、高品質な文字と画像のデータベース化でお客様の業務改善とコストダウンを提案する企画メディア事業を展開。

 1979年、20年以上も前に北海道大学の先生にアドバイスをもらい、コンピュータに強い社員を作ることを決意する。社員数が50人ほどの時代に、貴重な大卒の新入社員を、いきなり東京のコンピュータ会社に3年間の研修に出す。結果的にこの英断は実を結び、戻ってきた社員は、”文字情報処理システム“というアイワード独自のソフトをつくる。
 このソフト開発の記事が日経新聞に小さく載ることにより、東京の会社から引き合いがきて、独自のデータベースから全国8ブロックに分けて発行されている企業信用録の3ブロック分を編集から印刷まで行うことになり、現在では全国すべての印刷を手がけるまでになった。さらに全国の地名一覧という書籍がある。これもアイワードでデータベース化することによって、印刷までも引き受けることになる。
 三つめは、一番の基本としている”社員教育“である。
「当社の社員教育の考え方は、自社に必要な人間を作るということではありません。人間として、社会人として、どこへ行っても通用する人間づくりをベースとしています」
 あいさつの問題に始まり、きちんと朝は起きて夜は寝ること、ご飯は3度3度食べること、命を大切にすること…。そして、こうした社員教育を通して、働くことの意味を考えてもらう。
「仕事を通してお客様に喜んでもらうということを徹底して理解してもらいます。男性も、女性も、若い人も、障害をもつ人も、同じ意識を持って全社員ががんばってくれている。そういう点がお客様に支持され、仕事に対して前向きだと評価されます。どちらに発注するかというときに、やはり私どもに頼みたいということになるわけです」

今年6月号で20周年、通巻240号を
迎えた『月刊アイワード』。

 しかし、現在の景気低迷は簡単には克服できないと木野口社長は言う。
「もう一度力を集中して、質的にも高まって、団結してぶつからないとこの壁は破れませんね。私どもは一貫してピンチのときはチャンスだと思ってきました。状況が厳しくなればなるほどお客様の選別は厳しくなります。今までは現状で良いと言っていたことにも見直しがかかるわけですから、徹底してお客様の立場に立てる企業が選ばれるようになるわけです」