「リパック」「ミニジャケット」「DB-Pack(ディスクブックパック)」など、一九堂印刷所のオリジナル製品の数々。

 個人向けのCD-ROM用パッケージを作ろうとしたきっかけは、2年ほど前から挑戦しているこのデジタルパッケージング事業である。オーダーメード、またはサンプルに手を加えるセミオーダーメードで、今までにない新しいパッケージを作ろうという試みだ。

 デジタル配信の時代になったとき、我々のビジネスで何が残っていくのかを考えると、パッケージは、物が動く限り、なくならないと思います。そして、これらのパッケージは、環境にやさしくあるべきだと考えます。リサイクル可能な資源で行きたいのです
というのが、岩尾社長の基本的な考えだ。紙をはじめ、ガラス、鉄など、昔からリサイクルしている素材こそが地球環境にやさしい。一九堂印刷所では、それらの素材にこだわりたいという。

 なかでも一九堂印刷所のテーマは紙。個性のある紙、雰囲気のある紙をどのような形で発信していくのか。印刷の工夫に加え、一九堂印刷所の得意分野である、抜きや貼り技術を加え、どのような個性的な製品を生み出していくか。さらに、特殊なコーティング加工と地球環境への配慮という、相反する事柄をどのようにコントロールするのか。課題はつきない。

  たとえば一九堂印刷所の製品のひとつ「リパック」では、CDやCD-ROMを収納する従来のプラスチックホルダーに代え、紙製ホルダーが採用されている。パテント権を含めて岩尾社長がスウェーデンから製造ノウハウと共に購入してきたものだ。広く海外を視察することによって、世界中のおもしろい紙製品が自然と見つかる。そういったものを積極的に取り入れることで、差別化を図っていく。

 「このホルダーは専門の機械で製作し、非常に良質な紙を使用しています。当然製品自体の製造コストは高くなります。しかし、コストとはその製品の廃棄コストやリサイクルコストを含めたライフサイクル全体のコストが本当のコストだ考えることこそ正しい発想です」と岩尾社長は言われる。一九堂印刷所が作った紙製ホルダーを使ったCD/CD-ROMケース「リパック」の廃棄コストは、プラスチックホルダーを使った従来製品に対して大きく軽減されるはず。「廃棄コストの割合はいずれ上がってきて、現在主流のケースから、100%紙製の製品にシフトするだろう」「多くの人々が地球環境保護に対する潜在的な意識を持っていることは事実であり、そうした気概を持たなければならない」と、岩尾社長は力説された。