一九堂印刷所が実際に扱ったCDジャケットが本社エントランスに。国内外の有名アーティストがずらり

 一九堂印刷所は、長い間レコードジャケットの製作を行ってきた。そこで蓄積した技術をもとに、現在ではCDジャケットの製作を中心に音楽産業に関連するポスターや販促用品などの印刷を行っている。一九堂印刷所の主なクライアントである音楽業界は、100枚〜100万枚という幅広いロットの発注が生じる業界。しかも、流行という時間との戦いは、常に短納期を要求される。CDジャケットは、印刷に加え、加工に手間がかかるタイプのものが多い。さらに店頭でのディスプレイ効果を狙って“色ベタ白ヌキ文字”というような、高精度で色調整が難しい高度な印刷技術が要求されるデザイン、特色や特殊な素材を使う印刷も少なくない。しかも、ジャケットには、印刷精度だけでなく折り精度や抜き精度も大変厳しく要求される。

 一九堂印刷所では印刷後の加工精度を要求されるものには断裁機を一切使わずに、平台打抜機での型抜き、ミシン目入れを行っている。これは一九堂印刷所ならではのノウハウであり、精度の高い印刷技術があればこそ、後加工工程での高精度が保証されるのだ。

 さらに一九堂オリジナル製品の開発にも取り組んでいる。昔の100%紙製のレコードジャケットをCDサイズにしたものを“ミニジャケット”と名づけ、7、8年前から取り組み始め、4、5年前から、量産体制に入ってきた。

 岩尾社長が、ある作品を手にして説明をされた。

 当社は昨年が創業90周年でした。いわゆる社史とは一味違う、見て楽しめるものをと考えて制作したのが、この作品です。明治の頃の注文書や、大正時代に引いた電話の『京橋一九一九』の記録、最初に建てられた自社ビルの地鎮祭の写真、米国からLPジャケット加工機を導入した時のことなどを紹介し、最後は昨年のIS09002の取得で纏めています

 厚紙を布地で包んで箔押しした高級感溢れるミニジャケットを開くと、一九堂印刷所の歴史上のトピックスをビジュアルで一覧した社史と、記念品の図書カードが出現する仕掛けになっている。

 一九堂印刷所の新製品ラインナップのうち、「リパック」「ミニジャケット」し「DB-Pack(ディスクブックパック)」などは、8割方がCD-ROM、ゲーム、光ディスク関連のジャケットやパッケージに使われる。これらの注文は基本的に多品種、少量、短納期である。

 一九堂印刷所のホームページ(http://www.ichikudo.com/)には、一九堂印刷所が開発したミニジャケットやさまざまなパッケージが紹介されている。問い合わせは国内外を問わず多数舞いこむ。しかし、注文はまだまだ主力製品に遠く及ばない。たとえば、来年のバレンタインを狙っているとのことだが「I LOVE YOU」という若い女性が喜びそうなギフトボックスを製作して、インターネットの「楽天市場」に掲載するなど多彩な展開を行っている。

音楽関係や大手代理店の本社が集まる中央区で操業する(株)一九堂印刷所。
 本社ビル1階のデジタルパッケージングセンターでは、パソコンとCADとを結ひつけ、デザインサンプルを製作し、10枚だけ欲しいというような極小ロットのリクエストにその場で応えられる体制で臨む。インターネットを利用してのBtoCという展開が望ましいと、岩尾社長は考えている。

 当社は基本的に『紙製品で生きていこう』と考えています

 岩尾社長が次々とデスクから取り出した100%紙素材のパッケージ、ボックス、ケース類は、大きさ、デザイン、それらに込められたアイデアもさまざまだ。